終りました。
昨年の9月から始まって東京、大阪、ソウルへと続く長い旅でした。こと演劇の現場に於いては無理解や無寛容がどうやっても許せない、そんな青二才には少々辛い時間もありました。それだけの規模だったという事、つまりそれだけの人に見てもらえたという事。しかし僕たちはそこに甘んじずに努力と忍耐を積み重ねてきたし、さすがの韓国人は終わりよければ全て良しとする陽のエネルギーに満ちていて、そこにある出会い、交わした言葉、互いに残した爪痕は、最終的に全て意味のあるものとして僕の、そしてきっとそれぞれの行く先を照らします。
「爪痕を残す」からにはこちらも何かしら残されるんだ、というごく当たり前の事を今思います。目の前の人間と向き合いお互いに痕跡を残す事、関わり続ける事、痛みを分ける事、チャラにならない何かが残る事、それでやっと僕は演劇をやって良かったと思えます。なかなかどうして、とことんまでやりきった5ヶ月でした。とことんまでそれを感じてくれた人たちでした。本当にありがとう。。여러형들 동생들 선생님들에게 진심으로 감사드립니다...
さて、僕はこういう事で世の中が良くなると本当に信じているんですが、実際の社会というものは中々そんな戯れ言を聞き入れてはくれません。そして演劇を社会に対して開くには、どうやってもそこといつかは対峙しなければならないのです。俳優芸術とは幾重にも覆われた壁を破って人と関わり続ける事だと思います。それには無防備では済まされない思索の積み重ねが必要です。今の僕にははっきり言って何も出来ません。ただただ孤独に思索を巡らせる事しか出来ません。けれどその事が少しでも人の心から心へと流れて行くように、今は小さな声でも、声帯が千切れるまでささやき続けたいと思います。そうやって僕の信じる俳優を続けて行きたいと思います。
何やら深刻でへヴィーな感じに聞こえるかもしれませんが、僕は明るいです。改めて人と自分を信じることが出来た公演でしたから。応援して下さった皆さまにもこの場を借りて、あらためて心からの感謝を贈ります。どうもありがとうございました。今年は始まったばかりです。倒れても倒れてもまた起き上がって、この種を育てます。どうか見ていて下さい。それでは。